12/27(土)公開の映画『海月姫』を一足先に試写会で鑑賞してきました。
『海月姫』は、以前にテレビアニメ化もされている東村アキコの同名の人気コミックが原作の映画です。
オタク女子たちが暮らす男子禁制のアパート「天水館(あまみずかん)」でのんびり気ままな日々を送っていた、クラゲオタクの主人公・月海(つきみ)が、女装趣味のイケメン・蔵之介(くらのすけ)と出会い、人生を少しずつ変えていく、という物語。
主人公の月海を演じるのは、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で一躍人気女優になった能年玲奈。
そして相手役の“ヒロイン”(?)・蔵之介には若手実力派の菅田将暉というこれまたフレッシュなキャスト。
その他にも、池脇千鶴・篠原ともえ・長谷川博己・速水もこみちなど豪華キャストが脇を固めています。
『海月姫』レビュー
僕は原作コミックは未読なのですが、TVアニメは全話観ていたので、だいたいどんな話なのかはわかった上での鑑賞でした。
観終わった後の感想はというと、「とにかくキラッキラな映画だった!」の一言に尽きます!
まずは、主演の能年玲奈のかわいさにやられました。
普段は三つ編みにメガネにダサい服という、オタク女子姿の能年ちゃんですが、そんなイケてない格好でも隠し切れないくらいのピュアな魅力がスクリーンからあふれてくるようでした。
メガネを外して化粧をしたら実はカワイイという設定のキャラなんですが、すっぴんメガネでも十分カワイイのである意味ミスキャストと言えるレベル。
一方、相手役の菅田将暉くんは、普通にしていればキリッとしたイケメン俳優、…なんですが、この作品では女装が趣味の男子という設定なので、劇中ほとんどのシーンでは女性モノの洋服を身にまとい、ウィッグをつけて化粧もバッチリ、という出で立ち。
どんなイケメンでもさすがに女装はキツイというケースがほとんどですが、この作品での彼は本当にかわいかったです。
しゃべると完全に男声なのは仕方ないとしても、女装時の仕草や表情はかなり魅力的で、もう一人のヒロインと言って十分なレベル。
その他のキャストも個性派キャストが勢揃いといった感じ。
童貞の政治家Jr.を演じる長谷川博己の純朴な演技には、やられてしまう女性も多そうですし、その幼なじみを演じる速水もこみちは、オリーブオイルなしでもはっちゃけたキャラを熱演。
敵対する地上げ屋を演じる片瀬那奈は、いつもどおりのミニスカ美脚で気持ちいくら位に嫌味なキャラを顔芸たっぷりにコミカルに演じてました。
月海と暮らす天水館の住人たちには、アジアン・馬場園、池脇千鶴、篠原ともえ、太田莉菜。
素顔がほとんどわからないコスプレでもったいないくらいでしたが、そのキャラの完成度は全員パーフェクト。
TVアニメで観ていたキャラと完全に同じ佇まいにビックリしました。
監督には、『のだめカンタービレ 最終楽章』などを手がけた川村泰祐。
魅力的な若者たちがドタバタと活躍しながらも大団円に向かうドラマの作り上げには定評がある監督ですね。
本作も随所に笑いどころを設けながらも、最後はちょっと感動してしまう良作に仕上がっていたと思います。
個人的には、菅田将暉演じる蔵之介の周囲の人間を惹きつける“引力”が、原作と同様にしっかり表現されていたのが、なんかよかったなあと感じました。
劇中の月海のセリフにもあるのですが、「この人が大丈夫って言うと、なぜか大丈夫な気がしてくる」っていう人、皆さんの周りにもきっといるのではないでしょうか。
蔵之介も含めた天水館の住人たちはみんな、女装やオタク趣味といったいわゆるマイノリティな人間たちなんですよね。
ただ、天水館の住人たちはそれを卑屈に思い、殻に閉じこもって暮らしていたのに対し、蔵之介はそれをガンガン壊して自分の生きたいように生きていこうとする。
そんな蔵之介に感化され、月海を初めとするオタク女子たちが徐々に自分たちらしさを発揮し始めるところがこのドラマの最高に面白いところだったと思います。
本作の登場人物たちほどではなくても、みんな誰しも自分と周囲との間にギャップを感じたり、コンプレックスを抱いたりしているもの。
自分らしく生きるために、自分の居場所は自分で勝ち取るんだ、という力強いメッセージをこの映画からは感じました。
少女漫画原作と侮らずに、ぜひ大きなスクリーンでそのパワーを感じてみることをオススメします。